2024年06月16日

Ryzen7 5700Xのオーバークロックの話




* オーバークロックは自己責任 *
  保証対象外になったり、CPUの破損を引き起こしたりするリスクを承知の上で。

Ryzen7 5700Xをオーバークロックしてみよう。
今回はそんなお話。







基礎知識
基本的に、Ryzen 5000シリーズはPBO2(Precision Boost Overdrive 2)と言う機能があり
システムの冷却性能によって、ある程度定格の上限を超えたクロックへのブーストを行ってくれます。

なので、通常利用においてははっきり言って、やる必要のない物で
かつ、ある程度は自動でやってくれている物ではあります。

その事を念頭に置いた上で「どう動かしたいか」を考えて
オーバークロック(や、低電圧化)を行う必要があります。
消費電力と熱を度外視して、とにかく安定してベンチマークで高スコアを出したいとか
性能低下を最小限にして、消エネ低発熱を目指すとか。
はたまた、消費電力と熱と性能をバランス良く強化したいとか。

そして、オーバークロック関係の紹介記事の大半は
「ベンチマークを(一定時間)回せること」しか検証されていない(と思われる)ため
実際に、PCを運用する上で問題が出ない保証はありません。
なので、実際に問題が出ないようにするには、それらよりも
*許容される設定値は、それよりも低くなります。*

そして、ストレステストを長時間クリアできたとしても、ゲーム等で
負荷のスパイク(瞬間的な高負荷)を起こすと、妙なエラーが出たり
画面描画が一瞬崩れたり、プチフリ(Stutter)が発生したりと
何らかの問題が出る事があります。

そのため、きちんと動作する事を確認したいのであれば
PCで普段やっている、負荷が高い操作や行為(動画エンコやゲーム、人によって異なります)を
ある程度の長時間行って、普段と違う挙動を起こさないか、
BSoD(ブルースクリーン)を出したり、電源が落ちたりしないかを検証した方が
実用的な検証になります。

また、この記事は以下のblogを参考にしています。
https://popupm.hatenablog.com/entry/2024/01/15/130000



PBO側の設定
は、以下の通り設定。
Precision Boost Overdrive Scalar:Manual / 10x
CPU Boost Clock Override:Enabled / Positive
Max CPU Boost Clock Override:200MHz
Platform Thermal Throttle Limit:Auto(95℃)

それぞれ、以下の意味です。

・Precision Boost Overdrive Scalar
PBOで上げたクロックを維持する時間。

・CPU Boost Clock Override
PBOで上げるクロックへ、更に上乗せを行うか。
また、上乗せ値はプラスかマイナスか。

・Max CPU Boost Clock Override
上乗せする最大値。上限は200MHz

これはサーマルスロットリングを発動させるCPU温度ですが、AutoのままでもOKです。
より低い温度で発動させたい場合は、95℃より低い数値にすればOKです。

中には、85℃に落とす事で電圧が下がって結果、クロック上限が上がるなんて話があるそうですが
わたしの環境では、順当にベンチマークスコアが落ちました。


CO(Curve Optimizer)側の設定
※ これを設定する場合は、CPU電圧オフセット変更は行わないでください。

Curve Optimizerは、クロックに対する電圧カーブを調整する機能です。
これについては、一律で設定して低電圧化を行うものと、コアごとに設定して
「回るコアは電圧据え置き、そうでないコアは低電圧化」と言うような設定をする事ができます。

電圧を調整する機能なので、CPU電圧を変更する他の設定(上記、電圧オフセット変更など)は
使用しないでください。
併用すると、電圧不足を起こしたり過電流によってCPU破損や異様な温度上昇を起こす可能性があります。

まずは設定するにあたり「よく回るコア」とは何かを調べておく必要があります。
これはRyzen Masterを使えば簡単に知る事ができますが、先に電圧関係を弄ってしまうと
判定が狂ってしまう事があるので、必ず調べる時はCPU関係の設定を
すべてデフォルトにしてから調べてください。

Ryzen Masterの「Core Section」で各コアの詳細が見られます。
☆がBest Core、●がその次にBestなCoreで、この2つのコアのCOは「0」とします。
※ Ryzen Masterでのコアは1~のカウントですが、BIOS上でのコアは0~のカウントです。
  例えばRyzen Masterで「C03」となっているコアは、BIOSでは「Core#2」となります。
※ 「0」としてますが、クロックを上げるのが目的なので、下げるにしてもなるべく
  「0」に近い値、つまりほとんど下げないようにしてください。

そして、それ以外のコアは、マイナス方向に設定する事になりますが
どこまで大丈夫なのかは、個体によって変わります。
なので、どの値がベストかと言う具体的な値はありません。

なので、-5辺りから始めていって、問題が無ければ問題が出るまで徐々に落としてみる事で
最適値が出てくると思います。

わたしの場合は、#4が◎で#5が☆だったので、それらを「Negative」「0」にして
それ以外のコアは「Negative」「18」としています。
※ Negative=マイナス方向  Positive=プラス方向

これで現状問題は出ていないのと、検証期間が十分に取れていないので
時間があればもっと低くしても大丈夫そうです。
Prime95等で、エラーが出ない程度にマイナスして行く方法もあります。


電圧オフセット設定(低電圧化)
※ これを設定する場合は、CO設定をしないでください。

DigitAll Powerの設定ですが、注意事項にある通り
COを設定している場合にこれを設定すると、意図しない程の極端な低電圧化をしてしまう場合があり
結果として、システムが不安定になる可能性があります。

過去に↓のような記事を書いてますが、COが無い頃の話で
はっきり言うと、3000(Zen2)以降ならば、COのみで設定した方が良いです。
これを設定する必要があるのは、2000(Zen+)以前の話だと思います。

Ryzen7 2700XのOCだとか低電圧化だとかのお話
https://pricono.blog.jp/archives/52045135.html


CPU Core Voltage:Offset Mode
CPU Offset Mode Mark:[-]
CPU Offset Voltage:(電圧:V単位なので注意)

電圧の設定は、0.0125V刻みで設定するのが良いとの事。
なので、下げる場合は0.0125、0.025、0.0375、0.05、0.0625、0.075、0.0875、1と、徐々に下げてみて
限界値を探る事になります。
めんどくさがっていきなり大きな値にすると、CPUを壊しかねないので
必ず、小刻みに下げて様子を見ること。

消費電力も発熱も低下しますが、それなりに性能低下もします。
詳しくは↑の記事を。



PPT、TDC、EDC
ってなんぞ? と言う話ですが以下の通りです。

PPT(Package Power Tracking)
ソケットに電力を供給する電圧レール全体での、許容消費電力量。
スレッド数の多いアプリや、重いスレッドを持つアプリで重要となる。

TDC(Thermal Design Current)
熱による制約がある状況で供給できる最大電流(A)。

EDC(Electrical Design Current)
短時間(スパイク)のピーク状態で供給できる最大電流(A)。

これらはマザーボードで自動設定されている物ですが、これを手動で
(自分にとっての)最適値を設定するのが、Ryzenシリーズのオーバークロックの肝です。

と言っても、いくつか設定例がありますので、参考値までに。

・デフォルト(AMD公称値)
PPT:76
TDC:60
EDC:90

マザーボードではPPTを無制限にしているようです。

・TDP95W化
PPT:128
TDC:85
EDC:130

結構バランスが良い設定ですが、無駄もそれなりにあります。

・5800X化(5800Xのデフォルト)
PPT:142
TDC:95
EDC:140

これでも回りました、が……。
結構無視できないレベルの発熱で、わたしの冷却環境(2700X付属のWraith Prism+熊グリス)で回すと
85℃近くまで上がる上にFAN100%でもじりじり温度が上がり続けるので
もっと質の良いCPUクーラーが必要になります。

・Redditでの推奨値
PPT:120
TDC:75
EDC:110

以下からの引用。
https://www.reddit.com/r/Amd/comments/kfpele/5800x_adjusting_ppttdcedc_limits_on_pbo_got_me/

消費電力、発熱、ベンチマークスコアのバランスを取った結果との事。


・ぷり娘の設定値
PPT:120
TDC:80
EDC:115

ほぼRedditと同じですが、どこでリミットになってるかを確認した結果
TDCとEDCが若干足りてなさそうだったので、それぞれ+5ずつ。
これにするまでは、5800Xに近い設定値でしたが熱問題は避けて通れないため
もうちょっとバランスの良さを追求する事にしました。

なお、リミットに達しているかどうかを確認する場合は、
HWiNFOや、Ryzen Masterを使って調べる事が可能です。

Ryzen Master
左から3番目、6番目、7番目がそれぞれPPT、TDC、EDCです。

これでストレステストやベンチマークを回してみると、どこかが100%には必ずなりますが
その時にどこの割合が低いかで、調整する値がどれになるかが分かりやすくなると思います。



Cinebench R23のスコア
は、こんな感じです。

・5700X定格(デフォルト)
CPU(Multi Core):13142 pts
CPU(Single Core):1526 pts

・ぷり娘の設定値
CPU(Multi Core):15030 pts(+1888pts)
CPU(Single Core):1565 pts(+39pts)

CineBenchR23_PPT120TDC80EDC115

マルチコアでのスコアがかなり上がってる反面、シングルは何故かほとんど変化がありません。
これでシングル時は4.85GHz、マルチ時は4.45GHzまで上がります。
消費電力は97W前後、デフォルトから+19W程度です。
温度はCineBench R23実行中で75℃前後。


5800X化のPPT、TDC、EDC設定にすればスコアはもうちょっと伸ばせますが
消費電力は134W前後、つまりデフォルト(78W)の倍近くになります。
と言う事で、5800X化した5700Xのスコアと、5800Xの定格。

・5800X化(参考値)
CPU(Multi Core):15415 pts
CPU(Single Core):1500 pts

・5800Xデフォルト
CPU(Multi Core):15135 pts
CPU(Single Core):1566 pts

確かに、5800Xのデフォルトを超えられる物の
マルチスコア+400pts程度のために40W追加で消費させるか……? と言う問題が出るので
5800X化は正直、微妙です。
これだけ消費電力増やせば、電力面がカバーできたとしても
今度は熱問題が出てくるので。



総括
とりあえず、最後にざっくりとした解説を。

・電圧はOffsetでなく、COで調節。
・5800X化は一応可能。でも5700Xでそれをやる必要は?
・TDP95W近くまでは消費電力、発熱量と性能のバランスが良い
・動作確認はベンチだけじゃなく、普段使い(で、高負荷)の作業で


これらを守れば、比較的安定して動くようになるかと思います。




Posted by ぷり娘 at 2024/6/16(日) 04:56 │PC関係  │コメント(0) 

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